2006110

北海道森林管理局

 局長 亀井 俊水 様

檜山森林管理署

 署長 金澤 猛   様

                                                  (社)北海道自然保護協会

                                                          会長  佐藤 謙

 

      檜山森林管理署奥湯ノ岱2355〜2356林班における

          伐採状況に関する合同調査の申し入れ書

 

 貴局・檜山森林管理署2355~2356林班において、2005年度にブナ林の大規模な伐採がおこなわれました。私たちは、去る11月、自然環境保全の観点から上記林班の現地調査をおこなった結果、以下に述べる大きな疑念を持ちました。そこで、貴局および貴森林管理署の方々と、伐採の詳細を把握する合同の現地調査をおこなうべきと考えております。ここに、種々の問題点を指摘した上で、合同調査を申し入れますので、ぜひご賢察の上、積極的なご返事をいただけますよう、宜しくお願いいたします。

 

1.問題点

(1)伐採率

 23552356両林班における伐採は、檜山森林管理署の「伐採造林計画簿」(平成161222日)によりますと、伐採率がそれぞれ25%15%とされております。しかし、11月の現地調査によりますと、実際には、50%以上と見積もられる場合や単木が残る程度までの、過度の伐採状況が確認されております。

 したがって、そのような伐採の状況は、現地における詳細データとして把握すべきと考えます。また、過去から累積された択伐データがある場合には、それも確認できるように、具体的なデータによってご説明いただきたいと望みます。

(2)伐採量

 両林班における伐採は、北海道木材産業協同組合連合会の「素材入札結果一覧表」(平成171025日)によりますと、合計で19物件、4,704本、793.884立方メートルの材積とされております。2356林班では、積雪期の11月でも、19物件中7物件が搬出されないまま残されておりました。そこでは、上記一覧表による物件ごとの材積や末口直径に関して過小評価が認められること、また、高価な木材と安価な原材料Lに二分された物件の間で後者の中に支障木とは思われない腐朽のない大径木(高価な木材と考えられる)が混在している実態が確認されました。

 これらは、単なる過失に終わる疑念であれば幸いですが、私たちの疑念・懸念を払拭するためには、融雪直後かつ上記の搬出前に合同の確認が必要と考えます。

(3)水土保全林における伐採計画と伐採実態

 両林班は、国有林の機能類型によりますと、水土保全林・国土保全タイプ(かつての土砂流出防備保安林)に含まれ、その中で、とくに稜線部かつ河川の源流部に位置しております。このような両林班における森林伐採は、水土保全林全体・河川の流域全体に大きな影響を及ぼすことが容易に理解されます。実際に、この流域(上の沢流域)を見わたしますと、高木林が成立せずにタニウツギ低木林などが成立する急峻な崩壊斜面や露岩地が諸処に認められますので、とりわけ両林班に関する機能類型は、自然環境保全の観点から当然のことと理解できます。

 このような両林斑における森林伐採は、その是非を含んで慎重な検討が必要であったと考えますので、貴局および貴森林管理署における事前計画において、そもそも伐採率15%25%が妥当であったのか、自然環境保全上から問題がなかったのかどうかが問題視されます。したがって、計画の中で自然環境保全に関してどのように考えられたのかご教示いただきたいと願います。

 また、実際の伐採状況は、上記の機能類型の主旨とはまったく逆に、無番号の伐根から判断される支障木伐採が作業道からかなり離れた場所まで多く認められること、伐採が最源流となる小沢を掘削し埋め尽くす実態など、いわば「極めて乱暴な伐採」が実感されました。この状況は、土砂流出や洪水など新たな災害を引き起こす危険性を高めたと判断します。水土保全林・国土保全タイプにおける択伐が行政手続き上から問題ないと言われるかもしれませんが、上記のような乱暴な伐採を管理できないことは、貴局・貴森林管理署の大きな管理責任と判断します。

(4)希少野生動植物の生息調査と森林伐採について

 我が国の林野行政は、木材生産から公益的機能へ重視すべき方針が転換されております。公益的機能には先に述べた災害防止とともに生物多様性の保護が含まれます。そのため、貴局・貴森林管理署では、希少野生動植物が生息する場合には、伐採前に十分な事前調査をおこなう必要があります。実際には、両林班において土場・木材集積場に隣接してクマゲラの採餌木が認められましたが、積雪期でなければ他の希少野生動植物も確認される可能性があります。

 貴局・貴森林管理署では、これらに関して事前の調査を行われたのか、また、伐採業者に対して希少生物に関する指導管理をなされたのか、ご回答をいただきたいと願っております。

 

2.合同調査の申し入れ内容

(1)時期と日程:2006年春、融雪直後で、いま残されている7物件の搬出前の調査と  し、調査日程は少なくとも移動日を除く実質2日間が必要である

(2)調査内容:残された7物件の詳細確認と、伐採現場の自然の詳細把握

(3)北海道自然保護協会から参加予定の専門家:植物学(植生と植物相)、鳥類学、

  魚類学、地形・地質学など

 

3.最後に

 以上、檜山森林管理署における伐採の問題点を指摘し、融雪直後の合同調査を申し入れます。加うるに、合同調査の前に、貴局・貴森林管理署から既存の詳細データでもって問題点に対してご説明いただく機会があれば、それもやぶさかではございません。最後に、国有林の有るべき姿を切に望みながら、この申し入れ書をお送りする次第です。