札幌市長 上田 文雄 様
2005年7月13日
札幌市中央区北3条11丁目 加森ビル5
社)北海道自然保護協会  会長 佐藤  謙
                       
円山の眺望景観を確保するための都市計画を導入することの要望書

このことに関し、本年1月20日づけ当協会からの質問に対し、5月16日づけ(札地計第65号)で札幌市長から「円山の眺望景観を無視した不当な都市計画に関する質問書への回答」をいただきましたが、それによれば、「高度利用住宅地について、秩序ある市街地を下支えする観点から、土地利用条件に応じて建築物の高さに関する基本的な制限を新たに定めることを検討しております」とのことであります。したがって円山北麓で円山公園東側にあたる旧第一種住居専用地域(北1西28〜円山墓地付近)については、下記理由により、円山の眺望景観を確保するため、旧第一種住居専用地域と同等またはそれに準ずる高さ制限を設けるよう、強く要望いたします。


 記
<高さ制限が必要な理由>

 (1)当該地は円山の眺望景観を確保するため重要な地域
 札幌市が定めた「大規模建築物等景観形成指針ガイドライン」によれば、札幌市の「主要なランドマーク」として、円山、藻岩山、手稲山の三山を例示し、「市街地の背景となる山並みは、地域の方向性や広がりを確認でき、四季の彩りを演出する要素であることから、これらを視認できる主要交差点、主要道路、主要河川からの見通しに配慮する」としている。ところで札幌市が例示した円山、藻岩山、手稲山の標高は、250m、500m、1000mのオーダーとなる。その場合、山麓に建つ高層建築物による視界遮蔽の影響をもっとも強く受けるのは、当然のこととして標高の低い円山である。したがって「見通しに配慮」する必要性、すなわち高さ制限がもっとも必要なのは円山山麓である。
 札幌市は上記の景観形成指針で、市民に対してはそれを求めながら、市は自らの都市計画で当該地の「高さ10m以下」の制限を撤廃し、「高さ無制限」に変更してしまった。
 景観法が新しく成立し、良好な都市景観の保全が求められている現在、札幌市は新しい時代に即応し、「主要なランドマーク」のうち、もっとも高層建築物による影響を受けやすい円山山麓について、都市計画を是正するのは当然の責務である。

 (2)当該地は円山を眺望する視点場として重要な地域
 今回の回答では、「視点となる場とそこから見る対象物との位置関係自体が極めて多様に定め得るものであることから、守るべき眺望景観の具体的内容を明確にすることがまず必要」とのことである。しかし当協会からの質問は、そんな漠然とした抽象的なものではない。具体的に旧第一種住居専用地域および隣接地域の視点場から、円山を眺望することについて質問したのである。しかし回答書ではそのことには何も答えていない。
 前回から問題としている都市計画で考慮すべき「見る対象物」は、(1)で明らかなように札幌市が示した「主要なランドマーク」の円山である。その「視点場」として重要なのは多くの市民が利用する公共交通機関の乗降場(地下鉄円山公園駅)、および市街中心部から、徒歩により公共の場である円山公園・円山動物園などへ至る間の動線である。その場合、ランドマークとしての円山の「四季の彩りを演出する要素」を、もっとも間近に実感できるのが当該地に他ならない。
 したがって円山の北側および東側山麓の最寄市街地である当該地には、「高さ無制限」の建築物を誘発させるような都市計画を施行すべきではない。

 (3)社会的合意を得る第一義的な責任は札幌市にある
 今回の回答では、土地利用の制限を課すためには、「地域にお住まいの方々を含めて社会的な合意を形成することが不可欠」といっている。これは一般論としてはその通りであるが、当該地の場合に「社会的合意」を得るのは、第一義的には札幌市の責任である。なぜなら、当該地は長年にわたり「高さ10m以下」の用途地域が適用され、地域住民はその環境を享受してきたが、「地域にお住まいの方々」の多くが知らないうち、すなわち社会的合意が不十分なうち、しかも都市計画審議会で説明もなく論議もなく(注)、「高さ無制限」の用途地域に変更されてしまったからである。もし「地域にお住まいの方々」がその変更を知っていたら、2000年に起こった高層マンショントラブルはなかったはずである。
 ※(注) 2000年8月28日の北海道新聞には、「札幌市によると、用途地域の変更などは、都市計画専門部会に提案。…円山地区については説明も論議もなかった」とある。 
そして札幌市が「地下鉄駅周辺」の「土地利用の高度化」を図るとの理由で、高層マンションを誘発するような都市計画を施行したため、当該地の地価は全道一の上昇率で高騰してしまった。本年3月24日の北海道新聞は、「札幌市内の住宅地の平均下落率は三・八%」と地価下落傾向を記した後、「道内住宅地の最高価格は、札幌市中央区大通西二八で三・三%増と二年連続で上昇」と伝えている。もし「高さ10m以下」の用途地域を変更することがなければ、こんな現象が起こるはずがない。
 したがって「土地利用の制限を課す」ための社会的合意を得ることが困難になっているとすれば、その原因をつくったのは札幌市の都市計画に他ならない。札幌市は「新しい土地利用の制限」のため社会的合意を得ることに努める責任がある。
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