北海道知事 高橋はるみ様
2005年7月12日
公述人) 住所 札幌市中央区北3条11丁目 加森ビル5
職業 社)北海道自然保護協会 会長
氏名 佐藤 謙    印
                       
エゾシカの捕獲の禁止及び制限に係る意見書

  平成17年6月20日付け自然第512号で通知のあったエゾシカの捕獲の禁止及び制限に係る意見書を次のとおり提出します。

1 特定鳥獣の捕獲の禁止及び制限に対する意見
  (賛否の別)    保留
2 賛否に係る理由
 エゾシカは、近年、道東だけではなく道央地域においても遭遇する機会が相当に増え、その急増と生息地拡大は感覚的には実感される。しかし、政策とする本案は、以下に述べるように、科学的に十分な説明が行われているとは言い切れない。それが、当会が保留とする理由である。
 (1)エゾシカ個体群の管理計画は、緻密な科学的研究・根拠に基づくべきである。個体群の現状把握については、全道ならびに地域ごとに個体数の増加、地域的な疎密の程度、水平的・垂直的季節移動などについて、より厳密な科学的調査が必要である。そのような緻密な現状把握に基づき、増加、疎密、移動などの原因を捉え、それらの原因に対して実効ある対策を講じなければならない。科学的管理を行う観点から本案を読むと、北海道をわずか3地域に区分して減少策を講じる案であり、まだまだラフな対策と捉えることができ、科学的な説得力が十分であるとは思われない。また、農林業の被害額については、恣意的ではない公平感のある算定が必要であり、農林業上の有用植物だけではなく野生植物すべてが採食される実態についても、十分な科学的根拠を得る必要がある。
 (2)他方、自然生態系への影響について、同様に、緻密な科学的研究が必要である。この観点から本案を読むと、従来の道東地域における管理計画において指摘されてきた問題、とくに、死体(残滓)の処理と鉛弾の規制について、本案で解決されているかが問われる。従来、猛禽類などの鉛中毒問題、不十分な死体処理によってエゾヒグマの食性変化などが問題視されてきたが、今までそれらの指摘に対して実効ある対策が講じられてきたか、そして、今後、全道に拡大してエゾシカ減少策を講じる際、これらの生態系に対する負の影響を必ず避ける具体策が講じることができるのか、それらが問題となる。従って、とくに死体(残滓)の処理と鉛弾の規制については、それぞれ、生態系としての総合的な調査研究に基づき、それぞれ具体的に実効ある対策が求められる。
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