2005ラリー・ジャパン実行委員会委員長 大西 康文 様
2005年5月18日
十勝自然保護協会 
ナキウサギふぁんくらぶ
(社)北海道自然保護協会
北海道自然保護連合
会長 安藤 御史
代表 市川 利美
会長 佐藤  謙
代表 寺島 一男
「自然環境に配慮したラリー」に反したラリー運営に対する抗議声明

 貴職は昨年に引き続き2005年も十勝でラリーを計画しているとのことですが、私たちは、すでに行われてきたラリーが自然環境を破壊してきたことに抗議してきました。さらにラリーについての説明会と資料を要求してきました。貴職は、自らの見解として報告書の公開は環境NGOへの対応を表明してきたにもかかわらず、実際には抗議や要求にまったく耳をかさないまま2005年もラリーを強行しようとしています。私たちは、以下に述べるような見解に基づいて、ラリー強行を中止するよう要請します。
 貴職はラリー・ジャパンの前身である2001年のラリーの際、その記者発表資料のなかで「環境に配慮したラリー」を掲げ、環境に対して手を加えないとともに、環境調査報告書の公開や環境NGOへの対応を行なうことを表明しています。しかし、「ラリー・ジャパン2004」の新得町のコースでは連絡路に重機で排水溝をつくり土石を谷に落としたり、林道脇の草刈りを行なったり、観客席周辺の樹木を伐採し、自然環境の改変を行ないました。
 私たちは昨年開催された「ラリー・ジャパン2004」の新得のラリーコースが、絶滅危惧種のシマフクロウ・クマタカ、希少種のナキウサギの生息地であることを知り、ラリーカーやヘリコプターによる騒音などがこれらの希少生物に多大な影響を与える恐れがあるとして、この地域でのラリー開催を中止するよう求めてきました。シマフクロウとナキウサギについては、毎日新聞社の「インターナショナルラリーイン北海道開催実施計画に係る自然環境の保全措置等の検討報告書」において,特に影響が危惧される種として取り上げられた種であったにもかかわらず、「ラリー・ジャパン2004」では自然保護団体の指摘を無視して、これらの生息地でラリーを強行しました。「ラリー・ジャパン」のコースには、これらの希少動物のほかにも,クマゲラやオオタカなどの絶滅危惧種が生息している地域も含まれており、自然環境に大きな影響を与えることが懸念されます。
 また、上記の報告書では、国立・国定公園の特別地域から10q程度をバッファーゾーンとして、コースの使用を避けることが望ましいとし、記者発表資料の中でも国立公園、鳥獣保護区域内をはじめ、貴重な自然環境地域はコースから除外します、としながら、新得町のコースでは一部が大雪山国立公園の特別地域内を通過し、足寄町のコースでも阿寒国立公園の特別地域に隣接している地域でラリーを行いました。
 このために私たち4団体は今年2月19日に環境調査報告書等の資料の送付と2005年のラリーについての説明会を求めましたが、4月の再度の要請も無視し、期限である4月28日までに環境調査報告書を送付せず、説明会についても回答しませんでした。さらに公式ホームページによると「ラリー・ジャパン2005」では、問題となったコースを再度使用することを発表し、問題の解決をはかろうともしません。貴職はマスメディアにおいて重要な役割を果たしています。自らの公言をことごとく反故にしたこのような無責任な態度は、真実を追求・報道するマスメディアの信頼を根底から揺るがすものであり、とうてい容認することはできません。貴職の態度に対し、ここに強く抗議するとともに、今後も環境調査報告書の提出や説明会の開催を求めていく所存です。
 ラリーは、森林に生息する動植物に影響を及ぼすだけではありません。柔らかい火山灰の堆積した森林地帯につくられた日本の林道は、ヨーロッパなどのラリーコースとはまったく条件が異なり、自動車の高速走行により地表面が深く削り取られ、林道の基盤を損傷し森林生態系の破壊につながります。林道でのラリーは貴職が主張する「自然との共生」とかけ離れた行為であり、自然に負荷を与えるだけの競技にほかなりません。このような森林生態系にさまざまな影響をもたらす林道でのラリーには、今後も抗議、反対をしていくことを表明します。

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