札幌市長 上田 文雄 様
2005年3月22日
社団法人北海道自然保護協会  会長   佐藤  謙
円山の眺望景観を無視した不当な都市計画に関する質問書(再質問)

 本年1月20日づけで当協会が質問したこのことについて、3月11日づけ(札計都第1755号)で回答をいただきました。しかし、その内容は基本的には2000年11月17日づけ回答と変わらないもので、問題の核心にまったく答えておりません。
 すなわち今回の回答(および前回の回答)によれば、「円山地区」の(旧)第一種住居専用地域(高さ10m以内)を(新)第一種中高層住居専用地域(高さ制限なし)に変更した理由は、@地下鉄駅近傍にあってすぐれた利便性を有しており、適切な高度利用を図る必要性があること、A土地利用の現状および動向を踏まえ、地区特性に応じた住環境の保護にも配慮する必要があること、の2点であり、この措置は「十分な必要性と合理性をもつもの」とのことです。
 この回答は一般論であり、「円山地区」の具体的事例に即した用途地域変更の理由としては、まったく説明にも回答にもなっておりません。したがって下記のことを重ねて質問しますので、明確な説明、回答を早急にされるようお願いいたします。

円山の眺望景観を阻害する都市計画が「十分な必要性と合理性をもつ」根拠を明示すること

 「円山地区」は札幌市が誇る都市景観を特徴づける円山原始林の東山麓に当たり、市街地側から円山を眺望する場合の円山側至近距離の地域に該当する。その円山地区が高さ10m以内の低層建築物に規制されていれば、背景となる円山の眺望景観が損なわれる懸念はない。そして当該地区は現実の問題として、長い年月にわたり、(旧)第一種住居専用地域として高さ10m以内の規制が機能してきた。
 ところがその円山地区は、(新)第一種中高層住居専用地域に規制緩和され、高さ制限がなくなったため、市街地側から円山を眺望した場合、高層建築物群が背景のスカイラインを破り、高層建築物群が壁のように連続して眺望が妨げられても、それらはすべて合法ということになってしまった。これは札幌市が当時の第三次長期総合計画で掲げていた、「札幌の都市個性を形成する自然的特性を、今後のまちづくりに積極的に生かす」基本方針とは、明白に反する都市計画である。
 それにもかかわらず札幌市長は、この用途地域変更が「十分な必要性と合理性をもつ」と主張するのであるから、@円山の眺望景観を阻害する都市計画が、「自然的特性を、今後のまちづくりに積極的に生かす」基本方針とどのように整合するのか、A円山の眺望を覆い隠すような高層建築物を誘発させる「必要性と合理性」がどこにあるのか、明確で説得力のある説明、回答を求めるものである。

 長年にわたり高さ10m以内の低層建築物しか建てられなかった地域に、高さ制限を撤廃する都市計画を導入することが、従来からの当該地域の「住環境の保護」にどのように寄与するのか、また、なぜ高さ制限を撤廃する「必要性と合理性」があるのか根拠を明示すること

 前記のとおり「円山地区」は、長年にわたり高さ10m以内の低層建築物しか建てられない地域であったが、高さ制限が撤廃されたため、低層建築物群のなかに高層建築物が混在することが合法化された。
 その用途地域変更の根拠となった制度改正は、「住環境の保護」を目的としたものだった。それは「改正都市計画制度の適切な運用について」の建設省都市局長から札幌市長あて通達 (1993・6・25)の冒頭に、「今回の用途地域に関する改正は、適切に住居の環境の保護等を図るため、住居の環境の保護に着目した用途地域を従前の三地域から七地域に細分化し…」と明記されており、また札幌市が自ら「都市計画法・建築基準法の改正により、適切な住環境を保護するため、用途地域が抜本的に見直されました」(地区計画だより10、1994)と市民にPRしたとおりである。
 しかし(旧)第一種住居専用地域を(新)中高層住居専用地域に変更すれば、低層建築物に隣接して高層建築物が出現することが合法となり、低層側に眺望障害、日照障害、ビル風障害その他の不利益が惹起されることは必至であり、「住環境の悪化」がもたらされることが明白である。
 それにもかかわらず札幌市は高さ制限を撤廃したのであるから、@高層建築物の出現は従来からの低層住居群の「住環境の保護」にどのように寄与し、「制度改正の目的」とどう整合するのか、Aまた従来からの低層住居群に対して眺望障害、日照障害、ビル風障害その他の障害を与える「必要性と合理性」は、なぜ、どこにあるのか、明確で説得力のある説明、回答を求めるものである。

札幌市「土地利用計画制度の運用方針素案」の意見  (北海道自然保護協会)

Q2−A 高度利用住宅地・一般住宅地について
 4−「良好な景観形成とみどりの充実を支える運用方針」のBア「良好な景観を維持・形成するための土地利用ルールの設定」(素案27ページ)は、次の修正案(下線部分)のように修正すべきである。

素案
 「歴史的遺構などの景観資源の周辺や、魅力ある沿道景観の創出が望まれる特徴ある通り沿いなどにおいては、景観形成の目標の具体化・共有化を図りつつ、これに即して建築物の形態などに関する土地利用ルールを設定することを検討します。」

修正案
 「歴史的遺構などの景観資源の周辺や、特徴あるランドマークの眺望景観を生かすべき地区、魅力ある沿道景観の創出が望まれる特徴ある通り沿いなどにおいては、景観形成の目標の具体化・共有化を図りつつ、これに即して建築物の形態などに関する土地利用ルールを設定することを検討します。」

修正が必要な理由
 マスタープランの<原則2>では、「自然と共生した北の風土特性を尊重」し、「自然環境や風土特性に配慮した都市景観づくり」として「地形的な特徴などが都市景観の中で生かされる」ことを明記している。また、それに関連して「大規模建築物等景観形成ガイドライン」に添付された「札幌市景観構造図」では、「主要なランドマーク」として手稲山、円山、藻岩山を具体的に例示している。
 しかし、このようなランドマークの眺望景観を生かす都市開発はほとんどなく、「地形的な特徴などが都市景観の中で生かされていない」のが現実である。したがって運用方針に、修正案(下線部分)のような表現を明記すべきである。

今後の具体的な施策への結びつき
 札幌市の自然環境を特徴づける良好なランドマークである手稲山・円山・藻岩山の眺望景観が、市内の主要展望地点から確保できるよう、次の施策が望まれる。

 @円山東山麓の(旧)第一種住居専用地域(環状線より西28丁目側)は、旧来(1996年以前)どおり高さ10m以下の低層の建築物しか建てられない制限を設けること。
 A地下鉄円山公園駅から円山公園に至る間は、円山の眺望景観が妨げられることがないよう、建築物の高さやデザイン制限を設けること。
 B前田森林公園から手稲山方向、 中島公園内から藻岩山方向、 真駒内公園から藻岩山方向の視野の範囲内は、そのランドマークの眺望が妨げられることのないよう、建築物の高さ制限を設けること。

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