北海道知事 高橋はるみ 様
2004年2月17日
(社)北海道自然保護協会 会長  俵 浩三
開発道路として整備中の道道17路線を、制度の原点
に立ち返って検証し、建設中止の決断を求める要望書
 当協会では昨年9月3日づけで、知事に対し「開発道路として整備中の道道に関する基本的情報の公開を求める要望書」を提出し、同年10月16日づけで建設部道路計画課長から「開発道路:整備状況調書」の回答をいただきました。それによれば、小平幌加内線、美唄富良野線など17路線の道道が、現在、開発道路として整備中とのことです。
 ところで、この要望では各路線の「開発道路の指定理由」や「事業費」なども明らかにするよう求めたのですが、その回答はいただけませんでした。そこで当協会では北海道に対する情報公開制度による手続きを進めましたが、その公開も拒まれました。しかし開発道路は北海道開発局が事業主体であるとはいえ、すべてが「道道」であり、北海道は事業費の20%を負担しているのですから、公開を拒むことは納得できません。情報公開制度の基本に照らし、運用実態の反省を求めるとともに、今後の改善を要望いたします。
 当協会ではその後、北海道開発局に対する情報公開制度により、各路線の「開発道路の指定理由」と「事業費」の情報を知ることができました。その結果、現在、整備中の開発道路は2路線を除き、15路線が農林業などの「資源開発のため必要な道路」として開発道路に指定されていることが明らかになりました。残る2路線(北桧山大成線、上遠別霧立線)は指定年代が古く、いまや「指定理由不明」とのことです。指定理由が不明のまま惰性的に公共事業が継続されていることは、行政の無責任さを象徴する驚きであります。また「資源開発のため必要な道路」も現実の土地利用の趨勢から見れば、開発道路の整備により農林業などの資源開発効果を発揮できる実態にはありません。それに各路線周辺の自然環境は、概して中山間の良好な自然環境を保持する地域を通過しています。そこで工事規模の大きな道路開削を進めれば(小平幌加内線、美唄富良野線など10路線は、開発道路の選定基準4号「新設又は改築に当たって最小限度の工事規模が大なる道路」に該当)、希少種を含む野生生物の生育・生息環境や、地域の景観に悪い影響を与えることは必至です。
 それのみならず、開発道路という制度そのものが、第二次大戦の戦後復興対策として北海道の未開発資源を開発するため、特別に設けられたもので、いまや時代の変化の中で役割を終えた過去の制度です。ところが戦後復興を終わり高度経済成長時代を迎え、開発道路が役割を終えると、行政は資源開発を必須要件とする「資源開発のため必要な道路」という制度から逸脱し、資源開発を必須要件としない「地域開発のため必要な道路」に変質させ、恣意的に運用を始めました。しかしこれは行政の裁量の範囲を超えた、非公式な運用であるため、公式には「資源開発のため必要な道路」という名目をつけ、「指定理由」としている、二重帳簿方式の公共事業に陥っているのが実態です。これは現実には資源開発効果を発揮することができないのですから「予算の目的外使用」に当り、とうてい適切な公共事業とはいえません(別紙、「検証・なぜ開発道路は『予算の目的外使用』となったのか」参照)。
 開発道路を食品に例えれば、「地域開発」というラベルを剥がしたら、その下に、とっくに賞味期限が切れた「資源開発」という古いラベルを張ってあることが、消費者からの指摘で露呈したようなものです。そのことが露呈しても、なお商品を売りつづけるのは悪徳商法です。ちなみに当協会では北海道開発局に対し、開発道路を整備することにより、各路線ごとに、どのような資源開発効果が期待できるかを記した文書の情報公開も求めたのですが、該当する文書は「不存在」とのことでした。名目的に「資源開発」の名を借りているだけですから、「不存在」なのは当然といえば当然でしょう。まさに「予算の目的外使用」なのです。
 そのような実態の中で、北海道開発局では開発道路の抜本的な見直しをするため、昨2月16日、北海道開発局事業審議委員会に対し、@上猿払清浜線、A板谷蕗之台線、B夕張厚真線、C増毛当別線の事業再評価を諮問したことが伝えられています。
 北海道は「道道」である開発道路の建設費の20%を負担しておりますが、北海道の財政事情は危機的な状況に陥入り、「財政立て直しプラン」を実行中です。したがって北海道知事としては、財政立て直しプランの基本に沿い「政策の質の向上」を第一とし、すでに時代の変化で役割を終え、不適正な二重帳簿方式に陥っている開発道路については、それぞれの地元町村などからの要望があったとしても、大局的な見地から制度の原点に立ち返って厳正に判断し、17路線すべてを「中止」することを決断し、道費負担の予算を計上せず、北海道開発局に対しても明確な「中止」の意思表示をされることを、強く要望いたします。
 またそのことが、北海道の良好な自然環境保全と生物多様性の保持に貢献できる道に連なることを銘記すべきです。
 万一にも開発道路の事業を継続する場合は、知事には、その「道道」である開発道路を整備することにより、開発道路の公式な「指定理由」となった農林業などの「資源開発」効果が、どのように発揮できるのか明確に説明する責任を伴いますので、各路線ごとに、資源開発効果を発揮できる具体的な根拠(開発局には「不存在」)を提示し、道民の納得を得ることが、不可欠であることを申し添えます。
 なお当協会では、北海道開発局長にも別紙写しの要望書を提出しましたので、併せて申し添えます。
北海道開発局長 山本 隆幸 様
2004年2月17日
(社)北海道自然保護協会 会長  俵 浩三
開発道路として整備中の道道17路線を、制度の原点
に立ち返って検証し、建設中止の決断を求める要望書
 北海道開発局では、このたび開発道路事業を見直すため、北海道開発局事業審議委員会に対し、
@上猿払清浜線、A板谷蕗之台線、B夕張厚真線、C増毛当別線の事業再評価を諮問したと承知しております。それを踏まえ当協会では別紙写しのとおり、北海道知事あて要望書を提出しました。
 当協会では日高横断道路(道道静内中札内線)の検証を行った当時から、開発道路制度が内包する矛盾に関心をいだき、検証をつづけてきました。その結果、平成15年度現在、事業を継続中の開発道路(道道17路線)は、いずれも共通して次のような問題点を内包していることが明らかになりました。すなわち、
 「資源開発」を必須要件とする開発道路制度は、第二次大戦の戦後復興対策として北海道内の資源を開発するため設けられたもので、高度経済成長期以降は、時代の変化により役割を終えた過去の制度であり、これを21世紀に継続する意義はないこと、
 「資源開発」を目的とする開発道路が役割を終えると、北海道開発局では制度の本旨に背き、資源開発から逸脱して「地域開発」を目的とする道路を開発道路に選定する内部運用を行ったが、これは行政の裁量権を超えた恣意的な運用であるため、公式な開発道路の「指定理由」には資源開発の名目を付した、二重帳簿方式の公共事業に陥っていること、
 各路線は、それぞれの地域の社会経済的背景、土地利用の趨勢から見て、開発道路の整備を完了しても「資源開発」効果を発揮できない実情にあること、それにもかかわらず公式な指定理由が「資源開発」となっている開発道路の建設を継続することは、「予算の目的外使用」に当たり、適正さを欠く公共事業であること、
 現に北海道開発局には、各路線ごとの資源開発効果を記載した文書がなく、当協会からの情報公開請求に対しても該当文書は「不存在」と対応したこと、
 このような実態の公共事業を継続することは、事業の目的、必要性、効果のいずれの観点から見ても、妥当性のない無駄な公共事業であるばかりでなく、各路線の通過する地域は、概ね中山間地帯の良好な自然環境を保持しており、そこに大規模な道路開削を行えば、自然破壊をもたらすこと、
 などが明白となりました。

 北海道開発局による事業再評価は、「国土交通省所管公共事業の再評価実施要領」に基づく手法で行われるものと思いますが、そこでは「事業を巡る社会経済情勢等の変化」や「事業の投資効果」などが重要な視点となっています。

 ところで「事業を巡る社会経済情勢等の変化」は、当該開発道路が事業採択、着工されて以降の「変化」ばかりでなく、その事業の根拠となる開発道路制度自体の「変化」も検証すべきことは当然です。1960〜70年代の北海道開発局が、開発道路制度の必須要件である「資源開発のため必要な道路」から逸脱し、資源開発を必須要件としない「地域開発のため必要な道路」に変質させ恣意的に運用したことは、別紙「検証・なぜ開発道路は『予算の目的外使用』となったのか」で実証したように、まぎれもない事実です。
 事業再評価に当たっては、まずそのことを直視すべきです。このような不適正の二重帳簿方式による公共事業に、「妥当性」が認められるはずがありません。
 また「事業の投資効果」は、再評価実施要領にある「費用便益比」、すなわち時間短縮便益、走行費用減少便益、交通事故減少便益などの計算をすれば、事足れりというものではありません。そもそも各路線の公式な開発道路の指定理由は「資源開発のため必要な道路」となっているのですから、「資源開発効果」の有無が厳格に検証されなくてはなりません。当協会が、各路線ごとに「どのような資源開発効果を期待できるかを記した文書」の情報公開を請求したのに対し、北海道開発局は「不存在」と対応しました。
 開発道路を建設しても、資源開発効果が期待できないのであれば、「事業の投資効果」はゼロまたは「極めて小さい」ことになり、「1.5」を下回ることは確実です。
 したがって北海道開発局としては、今回の開発道路の事業再評価に当たり、開発道路制度の原点に立ち返って、客観的で厳正な検証を行い、17路線すべての開発道路の「中止」を決断されるよう、強く要望いたします。

 なお本件は、北海道開発局事業審議委員会各委員に対しても、要望書および添付資料の写しを添え、確実に伝えることを併せて要望いたします。
(補足説明資料)
      検証・なぜ開発道路は「予算の目的外使用」となったのか
 2004年2月 北海道自然保護協会
 当協会では開発道路の問題点を検証した結果、現在、事業を執行中の開発道路は、
@実態は「地域開発」でありながら、公式の開発道路指定理由は「資源開発」となっている二重帳簿方式の不適正な公共事業であること、
Aそうなった原因は、時代の変化により開発道路制度が役割を終えると、北海道開発局が「資源開発」のラベルを「地域開発」のラベルに張り替えて運用したこと、
Bしかしそれは非公式で恣意的な運用であるため、公式には「資源開発」の名目を付して体裁を整えたもので、「予算の目的外使用」となっていること、という実態が明らかとなった。
 以下、その根拠を実証的に説明する。なお当協会がこの検証に際して用いた行政資料は次の3点である。
 北海道開発局『北海道道路史概説と国道開発の変革年誌・第2巻第1部』
                        (北海道開発局、1979)(以下、『概説』と略す)
 北海道道路史調査会『北海道道路史 行政・計画編』
                        (北海道道路史調査会、1990)(以下、『道路史』と略す)
 北海道開発局『北海道の道路』(北海道開発局、1995)
 開発道路は戦後復興の必要から生まれた過去の用済み制度
 開発道路は、第二次大戦後の日本の復興のためには、北海道の未開発資源を開発することが、国家的に大きな課題となったため、「資源開発」を目的として設けられた特別な制度である。『道路史』には、次のように記されている。
  戦後の日本は多くの領土と海外の権益を失い、当面する食料問題の解決、資源開発  と再建の目は残された未開の地北海道に大きく向けられ、農地開発、石炭、木材、水  産物などの増産体制が大きくクローズアップされて、北海道は国の最も希望する地と  しての開発の緊急性が叫ばれてきた。この重要使命を果たすため、まず開拓道路と資  源開発、生産増強に必要な道路造りが各地で実施され、開発道路が誕生したわけである。
 このような背景から、道路法第88条(道等の特例)は「地勢、気象等の自然的条件がきわめて悪く、且つ、資源の開発が充分に行われていない地域内の道路で、政令で定めるもの」は、「(国が)道路に関する費用の全額を負担」するという特例が設けられた。これを受けた道路法施行令第32条は「建設大臣が開発のため特に必要と認めて指定したもの」が開発道路であると規定している。
 この規定を受け建設省道路局長は「開発道路の選定基準」(1954)を定めた。それによれば、いずれも「資源開発のため必要な道路」が選定されることになっている。
 (注記)平成15年度現在、事業継続中の開発道路は、先に中止が決まった日高横  断道路(道道静内中札内線)を除き17路線あり、そのうち北桧山大成線と上遠別霧  立線の2路線は指定理由不明、名寄遠別線、高見西舎線など5路線が選定基準「2項」、小平幌加内線、美唄富良野線など10路線が「4項」に該当するものとされている。
 第2項は「開発必要地内の道道および町村道で、未開発資源の内その主目標となるものを運搬し、その新設または改築を必要とする支線道路。ただし、これらは公共性の強いものに限る」、また第4項は「地域開発計画が決定された地区内の道道で、資源開発のため必要であり、しかもその新設または改築に当たって最小限度の工事規模が  大なる道路」となっている。

 ところで戦後復興の時代が終わり、高度経済成長時代を迎えると、戦後復興対策として「資源開発」のため設けれた開発道路制度は、「賞味期限が切れた」実態となった。
 資源開発から地域開発に逸脱して恣意的に運用
 開発道路制度が賞味期限切れとなったことを、もっともよく自覚したのは、事業主体の北海道開発局である。『概説』には開発道路に対する1960年代の考え方が、次のように赤裸々に記されている。

 新法(道路法)制定後、十数年を経過した今日、北海道開発の理念も当時とは異なってきており、(開発道路は)再検討を要する時期に至っているといえよう。
 北海道は内地に比べて今なお開発能力も低く道路密度も劣っている事は先に述べた通りであり、之を一日も早く内地府県なみにレベルアップさせる為には、地方自治体のみの力では到底おぼつかなく、なお暫らくの間、現行制度を存続させたいと願うものである。
 しかしながら、現行の採択基準は北海道の資源開発を第一義として進められてきた  が、拠点開発、流通経済の合理化および地域格差の是正が重視される今日、資源開発  と共に、地域開発、地域連絡の為の幹線を新たに設定いたしたいと思うものである。 そして北海道開発局は自ら「開発道路選定基準(案)」を策定した。そこでは従来からの「未開発資源開発道路」の他に、新たに地域開発のために必要な「地域開発幹線」と、主要地または国道相互間を連絡する「連絡幹線」が開発道路として選定できるようになっている。すなわち開発道路は、「資源開発」を必須要件とする基本から逸脱し、資源開発を必須要件としない「地域開発」に枠が拡大される方向が示されたのである。
 この「案」は机上のプランに留まらず、実際の開発道路選定に運用された。『道路史』には、次のように記録されている。
 (開発道路の選定は)昭和40年代中頃からは、事実上、第2項の開発必要地よりも地域開発計画が決定された地区の、大規模道路を選定する方向にある。
 ここでいう「開発必要地」とは資源開発が必要な町村で、建設省の「開発道路の選定基準」で「開発能力が低く未開発資源豊富な町村(以下これらを開発必要地という)」と定義されたものである。『道路史』の記述は、昭和40年代中頃(1970年代)以降は資源開発を逸脱し、地域開発のため必要な道路が開発道路として選定された事実を物語っている。
 それだけではない。『道路史』には、資源開発と決別した「開発道路整備の基本的考え方」が、次のように披露されている。

 この基本的な考え方に立ちながら、開発道路選定の方法論を展開すれば、第一に幹線道路網形成論としてとらえることができる。
 (中略)ある広さの国土面積に対しては、土地利用が高度であると否とにかかわらず、ある一定量は最低配備されるものであり、国土面積に比例して必要となるものである。
 (中略)第二に、国家的開発プロジェクトに対して先導的な道路整備の必要がある場合には、整備すべき道路の性格、工事規模などを勘案して開発道路の制度を活用してゆく必要がある。
 以上のことから、戦後復興を終わり、高度経済成長期を迎えると、開発道路は「資源開発」を逸脱し、「地域開発」に必要な道路に変質して運用されたことが明白である。しかしながら「開発道路の選定基準」は建設省が定めるものであり、北海道開発局が定めるものではない。したがって「資源開発」のため必要な道路を選定する建設省の基準は厳存しており、開発道路は「資源開発」と決別することができなかった。そのため開発道路は二重帳簿の公共事業に陥ったのである。
 実態は「地域開発」で名目は「資源開発」の二重帳簿
 高度経済成長期以降の開発道路の実態は、「地域開発」あるいは「地域連絡」のために必要なものとして運用され、それは「資源開発」のために必要な道路ではなかった。したがって現行の開発道路は「資源開発」の意義を、全くあるいは殆ど失っている。その点について北海道開発局は『北海道の道路』(1995)の中で、次のように自認している。
 開発道路は、戦後のわが国の国民経済の復興発展を担う北海道開発において、重要な役割を果たしてきた。
 (中略)開発道路の今日的な意義は、広大な土地をかかえる北海道において、幹線道路網の充実を図ることによって、開発意欲をおこすに充分な魅力的な地域を形成することにある。
 すなわち現行の開発道路は「幹線道路網」の形成を図ること、道路を造ることが目的であり、決して「資源開発」を目的としたものではない。現に昨年11月、北海道自然保護協会が北海道開発局に対する情報公開制度により、「現在整備中の開発道路の各路線ごとの期待される資源開発効果を示す文書」を請求したところ、該当する文書は「不存在」と対応した。現行の開発道路は事実上、資源開発効果を発揮することができないのである。
 ところで開発道路をこのように運用することは、本来の開発道路の制度の目的を逸脱しており、行政の裁量権を超えた不適正な運用である。もしこれが裁量権の範囲内の運用であるなら、開発道路の「指定理由」も、堂々と「地域開発」と明記すべきである。しかし現実には裁量権を超えた運用であるため、実態は「地域開発」でありながら、開発道路の指定は「資源開発」の名目とせざるを得ない、二重帳簿方式に陥ったのである。開発道路は、公式にはあくまで「資源開発」である。したがって資源開発効果を発揮できないまま「幹線道路網」の形成のために運用することは、「予算の目的外使用」に当たる。
 それでは建設省の「開発道路の選定基準」が、なぜ時代の変化に即応せず、改正されないまま厳存しているのだろうか。それは恐らく道路法第88条「資源の開発が充分に行われていない地域内の道路」の規定に制約されており、道路法を改正できない事情が伏在するためと思われる。なぜなら、その改正を論議すれば、開発道路は「戦後復興」のための特例であり、すでに役割を終えた制度である一方、地域開発のため必要な道路は、北海道だけでなく全国共通(とくに東北、北陸、山陰、四国、南九州などの各県)の現代的な課題であるため、北海道だけに地域開発の特例が認められるのは不公平という声があがり、開発道路制度そのものの存廃に波及する恐れが大きいためと考えられる。
 ラベル張替えが露呈した商品を売るのは悪徳商法
 近年は、行政が「公共事業再評価」「政策アセスメント」などを実施するようになったが、それは、それぞれの事業が「時代に即応しているか」「必要性があるか」「事業効果があるか」「妥当性があるか」などを、客観的、厳格に検証し、「政策の質の向上」「適正化」に資するためのものである。
 ところが、開発道路事業は食品に例えると、「地域開発」というラベルを剥がしたら、その下に、とっくに賞味期限の切れた「資源開発」というラベルを貼ってあることが、消費者からの指摘で露呈したようなものである。ラベルを張り替えたのは北海道開発局である。そのことが露呈しても、なおその商品を売りつづけるのは悪徳商法である。
 北海道開発局と北海道は、現行の開発道路が、実態は「地域開発」でありながら、名目は「資源開発」となっている二重帳簿方式に陥っていること、資源開発効果を発揮できないにもかかわらず、開発道路事業を執行することは「予算の目的外使用」に当たることを自認し、制度の原点に立ち返って厳格な再評価を実施し、事業を中止すべきである。
 先に引用した『概説』が、「(開発道路は)再検討を要する時期に至っているといえよう。北海道は内地に比べて今なお開発能力も低く道路密度も劣っている事は先に述べた通りであり、之を一日も早く内地府県なみにレベルアップさせる為には、地方自治体のみの力では到底おぼつかなく、なお暫らくの間、現行制度を存続させたいと願うものである」と記載したのは、1960年代のことでである。
 「なお暫らくの間、現行制度を存続させたいと願う」としてから、すでに40年の歳月を経過し、時代は変化した。第二次大戦の戦後処理の制度に甘えて、賞味期限の切れた開発制度を、21世紀に延々と継続する意義はまったくないことを、行政は自認すべきである。
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