林野庁長官 石原 葵 様
大規模林道事業・期中評価委員会 御中
2003年11月24日
北海道自然保護連合      代表 寺島 一男
大雪と石狩の自然を守る会  代表 寺島 一男
北海道自然保護協会      会長 俵   浩三
十勝自然保護協会        会長 安藤 御史
ナキウサギふぁんくらぶ     代表 市川 利美
11月22日の道有林155林班55小班における現地調査に関する緊急意見書
.林野庁主催の「えりも町道有林155林班55小班における人為的穴埋めに関する現地調査」の経過と問題点
(1) 11月22日に予定されていた、林野庁主催の「えりも町道有林155林班55小班における人為的穴埋めに関する現地調査」は、6メートルに及ぶ高波による国道不通のため現地に入ることができず、中止となった。私たち5団体(14名)は、当日早朝より広尾町に集合し、同町音調津(おしらべつ)の通行止めゲート前で待機していた。林野庁が中止を判断したのは午後12時30分頃であるがその後もさらに1時間ほど待機した後解散した。この現地調査は、林野庁が要請した専門家と私たちの要請に応じた専門家が複数参加するため、真相解明の一歩として重要であり、天候のせいとはいえ、この機会を逸したことは非常に残念であった。従って、林野庁には、今後も引き続き、真相解明に努めることを要望する。
(2) 21日から22日にかけた林野庁の対応には以下の問題点が明らかであるので、ここに明記しておく。第一に、私たちは、調査前日の21日昼過ぎより、天気予報から危惧された高波による黄金道路通行止めの際の対処について、林野庁に問い合わせていた。しかし、林野庁は、その具体的対処方法についてなんら答えなかった。
 第二に、22日朝7時、広尾町で待機していた私たちの携帯電話に、林野庁は、「通行止めになったから、林野庁が待機しているえりも町役場まで来てほしい」と言ってきた。広尾町からえりも町までの移動には、天馬街道(広尾と浦河を結んでいる)を通って3時間近くが必要である。しかも、黄金道路における通行止め解除は、通常、えりも町庶野−目黒区間よりも広尾町音調津−目黒区間の方が早いため、えりも側よりも広尾側で待機するほうが合理的である。これらの事実があるにもかかわらず、林野庁はえりも町に来てほしいと繰り返した。それに対して、私たちは「広尾で待機して、開通の際には先に現地に入って待っている」と答えた。
 第三に、上記に続いて、林野庁は態度を変更させて「資料交換をしたい。意見交換をしたい。浦河に来て欲しい。」と言ってきた。私たちは、最後まで現地調査のために開通の望みを捨てたくなかったので、あくまで広尾で待機すると答えた。それに対して、林野庁は「資料の交換のため、天馬街道の中間地で会いたい」と申し入れてきた。この時点では、もはや現地調査ではなく、私たちの資料を求める申し入れを執拗に続けてきた。要するに、みずから必要な調査をしないままNGOの資料を求めたことは、今回の現地調査の目的から逸脱する。さらに、その逸脱した目的のために長距離の場所に呼びつけることは、いかにも官僚的な態度であった。
.今回の現地調査は、その有り方そのものに、非常に重要な問題点がある
(1) 今回の現地調査は、ナキウサギ生息地における人為的穴埋めが指摘されてから5週間以上も経過したので、時期を逸したことが明白であり、そもそも早期の現地調査を怠った点で林野庁の責任が大きい。
 現地における人為的撹乱の証拠が降雨などによってその後自然に変化することは当然考えられること、また、その後に人為的改変がさらに加えられた可能性があることから、長時間を経た後の事実確認は、非常に困難になる。また、北海道の秋季から冬季への変化の中で、問題点が指摘された10月中旬以降の時期は常に降雪の可能性があるため、11月22日に現地調査が考えられたことは、通常であれば、積雪期の不適な現地調査を選択したことになる。事実はそのようになった。このように、現地調査は早期に行なわれる必要性があることが明白であり、期中評価委員会でもそのことが指摘されていた。
 それにもかかわらず、林野庁は何ら真相解明に努めず、すべてを緑資源機構に一任していた。このことは、「緑資源機構に一切の調査を一任している」と言明した洞下氏との会話(11月5日、電話内容の記録あり)でも明らかである。緑資源機構は、一貫して、ナキウサギふぁんくらぶが協力しないから調査ができないと公言していたようである。しかし、同機構および林野庁はともに、今回の現地調査に際してNGOの参加を不可欠の要件としていなかったことから、NGOに頼らなくとも独自に現地調査を実施できたはずである。林野庁は、そもそも、早期の現地調査を怠った点で責任が大きい。
(2) 今回の現地調査は、調査の目的、調査内容、専門家選定などに関して非常に不透明・不鮮明であり、真に真相解明を図ったのか疑わしい。
 当初、林野庁による調査目的は「55小班におけるナキウサギ生息可能地を特定した上で、人為的穴埋めを調査すること」であった。調査日程は、林野庁のいう哺乳類専門家のスケジュールが最優先して決められた。しかし、その後、ナキウサギふぁんくらぶと調査内容、方法などについて質疑を繰り返す中で、調査目的から「ナキウサギの生息可能地の特定」部分が削られた。このように、調査目的・内容、専門家の選定が非常に不透明であり、大きな問題である(ナキウサギふぁんくらぶによる別紙の質問書等参照)。
 さらに、この調査には4人の専門家が用意されていたが、岩塊堆積地を調べることができる地質・地形の専門家を欠いていた。林野庁による現地調査は、この点でも、真に真相を解明するために予定されていたか不鮮明であり、大きな疑問として残る。
(3) 私たちは、日本林業技術協会が今回の林野庁の調査に先立つ11月19日に、目黒に入ったとの情報を得ている。この時期に目黒といえば問題の55小班に入った可能性が高く、そうであればこれは、林野庁が言う「公開調査の公正性」を疑わせる行為であり、本来、許されるべきことではない。その上で、何のための立ち入りであったか、林野庁には大きな説明責任がある。
(3) 緑資源機構は、ナキウサギふぁんくらぶに対して11月7日付「回答及び厳重抗議」(11日発送)と称する書面を理事長名で送付し、公式の場での謝罪及び意見書撤回を要求した(別紙参照)。これは、準国家機関によるNGOへの不当な恫喝行為である。
一方で、林野庁は、緑資源機構がこのように脅しをかけたことを知りながら、11日になって突然、それまで拒否してきた現地調査を決め、日程を連絡してきた。このことはなぜか。ナキウサギふぁんくらぶを萎縮させ、抗議をひかえさせる中で現地調査をすれば、自分たちに有利になると判断したのではないか。以上の経緯は、非常に悪質であると考えるので、林野庁と緑資源機構は、十分な説得力をもって説明をすべきである。
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